暗記が苦手な人・覚えられない人のための「覚えない記憶術」

 はじめに

『覚えない記憶術』【著者:樺沢 紫苑(かばさわ しおん)】という面白いタイトルが目に留まったので読んでみると、自分のように30代以上の人でもこれからできる記憶術が紹介されているので参考になりました。また他にもたくさんタメになることが書いてあったので、メモ代わりに残しておきます。

次のような方におすすめの本だと思います。

・暗記が苦手。
・昔から覚えてもすぐに忘れてしまう。
・テスト勉強は一夜漬けで済ませている。
・年も若くないし、覚えることに自信がない。
・覚えるコツを知りたい。
・仕事の効率をあげたい。

 歳をとっても、脳は育つ

歳をとっても、脳は育つ。
脳を鍛えることで、記憶に関して重要な働きをする「海馬」の細胞数を増やし、さらに海馬の体積を増やすことは可能。
脳の機能は神経同士のシナプス結合の数と関連する。脳を鍛えることによって、40歳をすぎても50歳をすぎても増やすことができる。

まとめ、整理する能力、全体を俯瞰する能力、関連付ける能力。こうした能力は年齢とともに伸びていく。こういった力、「大人の能力」を活用することで、歳とともに衰えてゆく能力を補完する。

 記憶は事前準備が9割

「自分は記憶力が悪い」「自分は頭が悪い」と思っている人の多くは記憶力がいい、悪いという以前に事前の準備の仕方が間違っている可能性がある。
記憶というのは4つのステップ
理解
整理
記憶
反復
の4ステップで定着する。
しかし理解と整理の2つの事前準備が、記憶以上に重要。

人間の脳というのは理解することによって、物事が忘れにくくなる。他人に説明できる程度に理解しておけば、長く記憶にとどめておくことができる。
また整理され、何か他の物事と関連づけられると、記憶に残りやすくなる。記憶は関連を好むので、似たような情報・知識を分類・整理したり、図や表にまとめるだけでも、記憶が促進される。
記憶そのものに時間を使うよりも、事前準備としての理解と整理にしっかりと時間を使うことで、記憶力が悪い人でも無理なく記憶することが可能。

 記憶力は生まれつきのものではない

「自分は生まれつき記憶力が悪いから、成績が悪いのはしょうがない」
この思い込みは2重で間違っている。
まず、記憶力は生まれつきのものではなく、20歳からでも40歳からでも伸ばすことができる。

人間の脳は、「重要なこと」だけを記憶する。つまり「重要ではないこと」はすべて忘れるようにできている。日々自分が接する膨大な情報の中で「重要なこと」は1%もない。
脳は入力情報の99%以上を忘れるようにできている。そうでないと脳はパンクしてしまうから。

記憶に残すためには、入力された情報が重要であることを脳に教えてあげればいい。
脳が「重要である」と判断する基準は2つ。
「何度も使用される」か「感情が動いた」か。

情報は、脳の海馬と呼ばれる記憶の「仮保管所」に、2週間(最大4週間)ほど保管される。
その間に何度もその情報にアクセルがあると、海馬は「これは重要な情報である」「忘れてはいけない」と判断し、その情報を「長期記憶」の保管庫である側頭葉へと移動させる。

 楽しく簡単に記憶できる方法

脳にその情報が「重要である」と教えてあげる具体的な方法は、必死に暗記することではない。
もっと楽しく簡単に記憶できる。

1.覚えずにただアウトプットするだけ
「暗記する」ことも「覚える」こともしなくても、ただ「アウトプット」するだけで、情報は自然に「記憶に残る」
「アウトプット」とは、人に話す、文章に書く、教える、行動する。つまり実践すること。
「アウトプット」は入力された情報を「使用する」ということ。
具体的には情報を入力してから1週間以内に3回アウトプットすれば、圧倒的に記憶に残りやすくなる。

2.インプットとアウトプットを繰り返す
本をたくさん読んでいる人、セミナーをたくさん受講しているのに「なかなか自己成長を自覚できない」という人は、インプットとアウトプットのバランスが悪い。
情報を得る、本を読む、講義・セミナーを受講する。これらがインプット。
そしてインプットをしたら次に、必ずアウトプットをしないといけない。
アウトプットしたら、またインプットをする。インプットをしたら、またアウトプットをする・・・。このようにインプットとアウトプットを繰り返すと猛烈なスピードで成長していく。
十分なアウトプットをすれば、それが記憶に残るだけではなく、自己成長も加速する。

3.「記憶」するより「記録」する
アウトプットすることで長期記憶に残りやすくなるが、それでもすべてが記憶に残るわけではない。しかしこうした忘却を防ぐ方法として、メモすること。つまり「記録する」こと。記録したものを後から見返すことで思い出すことができる。
記録は忘却に対する、最大の抑止力となる。

4.ソーシャルメディアを活用する
Facebookやブログなどのソーシャルメディアに本を読んだ感想、映画を観た感想、日々の気づきなどを書く。ソーシャルメディアを上手に活用すれば、楽しみながらアウトプットすることで、ムリなく「継続」できる。

5.「脳の作業スペース」を開放して、仕事効率を上げる
脳の中には脳の作業スペース、すなわち作業記憶(脳メモリ)というものがある。脳メモリは工夫をこらさないとすぐにオーバーフローを起こし、仕事や学習の効率を低下させる。逆にうまく脳メモリを働かせることで、仕事や勉強も今よりももっとうまくいく。

ここからは、上記の詳しい内容になります。

 アウトプットのための書くだけ記憶術

1.覚えることよりも解くことに注力する
実験から暗記に注力するよりも「問題を解く」ほうが、記憶に残りやすいことがわかった。勉強でいえば、教科書や参考書を何度も読むよりも「問題集」を解いた方がいいということ。つまりただ単に暗記をするのではなく、実際に知識を使う、活用するということ。
理解と暗記を進めて、実力がついてから問題を解くのではなく、どんどん問題集を解きながら理解し、暗記していったほうがいい。

・問題集をゲームに変える方法
問題集を解くときに「×、×、〇、〇」というように1問ごとに「対戦成績」をつけるようにする。記録をつけることで、各問題に対する習熟度がわかり、ゲームをしているかのようで楽しめる。「このページは全て〇がつくまで頑張って解く」といったように目標設定をすることでモチベーションもあがる。楽しいなど喜怒哀楽という心の動きで、脳内の記憶増強物質が分泌される。このようにゲーム化して楽しいと感じることで、記憶効果を高めることができる。

2.とにかく「書く」ことが基本
書くということは運動神経を使って、手と指の筋肉を動かすということ。単なる脳内に存在していたデータが「行動」に影響を及ぼしたというわけ。「何かを覚えたい」と思ったのなら、それを書いて、書いて、書きまくればいい。「書く」ことが、「記憶する」ことそのものと思ってもいい。

3.忘れる前にメモをとる
メモするだけで記憶に残る。忘れたら困ることは何でもメモしまくる。
メモをすると忘れづらくなる3つの理由
(1)メモは、復讐1回分に相当する。
(2)メモもアウトプットになる。運動神経を刺激して記憶を強化する。
(3)メモは、「記憶の牽引」をつくる。

メモはデジタルでも紙でもどちらでもいい。

4.「記憶の本体」は失われない
「記憶の本体」は、そう失われるものではないが「記憶の牽引」は歳をとるとともに、簡単に失われやすくなっていく。
「牽引の牽引(意味記憶)」とは知識や情報に関する記憶で英単語の暗記や名前の暗記のような「丸暗記」が必要な記憶。覚えづらく忘れやすい。
「記憶の本体(エピソード記憶)」とは出来事、経験、体験、思い出に関する記憶。覚えやすく忘れづらい。歳をとっても衰えにくい。むしろ使い方によっては伸ばしていくことができる。

5.ノートを活用して記憶にとどめる
ドイツの心理学者エビングハウスの記憶実験
記憶した20分後には42%忘れ、1時間後には56%を忘れ、1日後には74%忘れることが明らかになっている。記憶というのは時間と共に猛烈なスピードで忘却されていく。これを防ぐ方法が『復習』
映画の内容を覚えたいたときには忘れないうちに重要なことを文字として書き出す(復習する)こと。

6.刺激を増やして記憶する
暗記するときは『五感』をつかうこと。声に出して読んで、書く。
暗記は黙読するだけでは困難。
声に出して読むだけで、左右の大脳半球の前頭前野を含めた、多くの場所が活性化される。また声に出すと顎、舌、唇などの筋肉を動かすことになり、書くことは指や手の筋肉に運動神経からの刺激がいくことになる。脳の複数の部位を活用した方が、脳はより活性化して記憶に残りやすくなる。

7.電車などの時は「シャドー読み」をする
「シャドー読み」とは実際に声は出さないけれども、声をだしてるのかのように、口を動かしながら暗記する方法。
頭の中で思い出すだけでは、復習の効果が弱い。できるだけ音読し体を動かすアウトプットを心がけることで、復習効率や記憶効率が高まる。

 ストーリー(関連づけ)をして記憶する

歳をとると丸暗記する能力、長時間にわたる集中力などは衰えている部分はあるが、その反面、物事を総合的に見る力、俯瞰する力、要約する力、関連づけ、比較、違いと共通性を見抜く総合力はUPしていく。
本来であれば丸暗記が必要な無関係なことも、自分の知識、体験、経験と関連付けることによってストーリー化できる。それによって圧倒的に記憶に残りやすい、「エピソード記憶」として残る。
理由を理解し、他の人に説明するだけで、ストーリー化できる。覚えようとしなくても自然と記憶に残るようになる。

ストーリー化する方法
・語呂合わせを使う。
・5W1Hを使ってSNSに投稿(アウトプット)する。
『5W1Hいつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)』
・何かを体験したら人に感想を伝える。
・人に教える。人に教えることは、記憶のステップ「理解」「整理」「記憶」「反復」をすることになるので効果が大きい。
・グループを作って教え合いながら覚える。
・味や感情も言葉にする。五感やそこから生まれる感情など記憶しづらいものも、言葉、文字として表現する。語源化することによって、それを客観的に把握できるようになり、しっかり記憶に残すことができる。

 記憶に頼らない記憶術

・暗記より理解を優先する。
理解・整理に十分な時間をかけることで、意味記憶がエピソード記憶化するので、記憶しやすく忘れにくくなる。

・全体を俯瞰してから、細部に入る。
勉強、読書もまずは全体の構成を把握し、それから細部を読んで、理解を深めていくと、圧倒的に記憶効率、学習効率が高まる。

・見やすく、わかりやすく整理されたノートを作り、それをもとに暗記の作業をしていく。
論理的に整理され階層的な構造にしたがって提示された言葉は、無作為に提示された言葉よりもしっかりと覚えられる。整理すると一般的に40%は覚える率が高くなる。

・国家試験、資格試験などは過去問を分析し、傾向をつかむことを優先する。

・勉強はまず「重要な部分」から始める。
教科書を最初の1ページから平均的に勉強するのではなく、重要な2割から暗記する。時間に余裕があれば、残りの8割を暗記する。

・1対1の組み合わせを暗記するときは、単語帳を用意する。
作ったカードを「暗記済」「暗記中」「難問」の3つの束に分類することで、時間を有効に利用できる。

 睡眠で脳の状態を整える

脳のパフォーマンスを考慮して勉強、学習、さらに仕事に取り組めば、「記憶力」がいい人はさらに効果が上がり、「記憶力」の悪い人でも、それなりの効果を発揮することができる。

どんなに日中、必死に勉強しても、睡眠時間が足りなければ、それが記憶としてしっかり定着することはない。「睡眠不足」によって、全ての勉強の努力がムダになる。

人はなぜ寝ている時に夢を見るのか?夢によって記憶の整理、定着が行われているという説が有力。
日中の記憶をしっかり定着させるには、6時間以上の睡眠が必要。ハーバード大学のスティックゴールド博士は、新しい知識や技法を身につけるためには、覚えたその日に6時間以上眠ることが不可欠だという研究結果を発表している。
睡眠時間を3時間や4時間に削って勉強したり、徹夜で勉強したりしても、記憶には定着しないし、学習効果も得られないということ。

徹夜は脳のパフォーマンスを著しく低下させる。例えば、徹夜が認知能力の低下を引き起こすということは数々の実験から明らかになっている。
記憶力を高めたければ、しっかりと眠るというのは、脳にベストパフォーマンスを発揮させるための大原則となる。

最も記憶に適する時間帯は「寝る前」特に寝る前の15分は「記憶のゴールデンタイム」と言われている。
勉強したら、そのまま布団に直行するのが記憶には最も効果的。

朝起きてからの2~3時間は「脳のゴールデンタイム」といって、脳の中が非常に整理された状態。高度に論理的な思考をしたり、難解な物事を理解したり、文章を書いたり、語学の勉強をしたりするのに向くと言われている。

午前中は、「理解」や「整理」の勉強時間を割り振り、夜は「記憶」と「反復」の勉強をする。

睡眠を削った分は週末に寝だめしても低下した認知能力は回復しない。毎日6時間以上の睡眠をとって、集中力を高めて、脳のパフォーマンスをベストに維持することが集中力や記憶力、ビジネスの作業効率を保つために必須。

たった40分の仮眠でも記憶の定着に大きな影響を及ぼす。
アメリカのNASAの研究によると、26分の仮眠によって仕事効率が34%アップ、注意力は54%もアップ。

日本でも厚生労働省が作成する「健康づくりのための睡眠指針」が2014年に改定され、そこには、「午後の眠気による仕事の問題を改善するのに昼寝が役に立ちます。午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業効率に効果的です」と書かれている。
健康づくりのための睡眠指針

時間あたりに対する睡眠の効用を最大化する仮眠法は、「パワーナップ」と呼ばれる。パワーナップの最適時間は、15~20分。30分を超えるとより深い睡眠に入ってしまうために逆に疲労感が増し、さらに60分を超える仮眠は、夜の睡眠に悪影響を及ぼす。

 記憶には復習が不可欠

適切なタイミングできちんと復習することによって、覚えている割合は確実に増えていく。
脳に入力された情報は、2~4週間、海馬に仮保存。その間に3~4回あるいはそれ以上使用された情報を、脳は「重要」だと考える。

最良の復習のタイミング
「1日後、3日後、7日後」という3回にわたって復習をすると、ほぼ記憶できる。そして30日後に、本当に覚えているどうか再チェックする。

記憶や暗記は長時間連続してやると、著しく効率を下げてしまうため、一度に集中して暗記しようとしても定着しない。一度に長時間やるよりも、勉強時間を分割して「繰り返す」ことで、脳のパフォーマンスを最大化できる。

頑張りすぎは逆効果。勉強も仕事も疲れる前に休憩をとることが重要。
勉強も仕事も、最初と最後は集中力が高まり、記憶力や作業の効果が高まる。心理学では「初頭効果」と「終末効果」という。

 感情が動くと記憶も強化される

記憶と情動は深くかかわっている。人間は喜怒哀楽など感情が大きく動かされた出来事は強烈に記憶する仕組みを持っている。
脳の中で分泌される脳内物質、神経伝達物質が、記憶を増強する作用をもっている。
例えば、ワクワクするとき、楽しい時、幸せな時に分泌される幸福物質ドーパミン。物凄くハッピーな時に分泌される脳内麻薬のエンドルフィン。恐怖や不安を感じた時に分泌されるノルアドレナリンやアドレナリン。これらの物質はいずれも記憶を増強する効果があることが確認されている。

情動を喚起する出来事に対する記憶を「情動記憶」という。情動記憶は普通の記憶のように何度も復習する必要がない。意識的に感情のコントロールを行うことで、情動の記憶増強効果を利用し、覚えなくても勝手に記憶に残すことができる。

緊張感がない状態よりも、適度な緊張感があるほうが脳のパフォーマンスは高まる。しかし極度の緊張状態では、脳のパフォーマンスは下がってしまう。このことは心理学実験によっても証明されていて「ヤーキーズ・ドットソンの法則」という。

人前で発表したり、模擬試験やテストを受けたりするというのは、不安、緊張をともなうため、できれば避けたいと思うだろう。しかし「人が嫌がるようなイベント」こそが、ほど良い緊張を与え、自分の知識と経験を爆発的に広げる絶好のチャンスとなる。

緊張によって思い出せない事態を防ぐには、緊張する場面に慣れておくこと。
受験生の場合は模擬試験を受けておく。受験生以外は、積極的に緊張する場面に出ておく。例えば、人前で話すという機会をつくる。

緊張している時は、20~30秒かけて鼻からゆっくりと息を吸い、20~30秒かけて鼻からゆっくり吐き出す。これを3回繰り返す。
深呼吸のリラクゼーション効果は絶大。「緊張したら、深呼吸をする」ことを普段から習慣にしておくことがベスト。

人間は追いつめられるとノルアドレナリンという脳内物質がでる。ノルアドレナリンが分泌されると注意力や集中力が高まり、結果として物事を素早く判断できるようになり、それと同時に記憶力、学習能力、作業遂行能力など、ほとんどの脳機能が高まる。追いつめられた状態で記憶するのは、記憶術的には非常に理にかなった効果のある方法といえる。

仕事をする時も、何かを記憶するときも、自分で締め切りを作ってほど良いプレッシャーをかけたほうがいい。

ストレスがかかった時に分泌されるノルアドレナリンを毎日使い続けると枯渇する。そんな状態が続くと、うつ病になりかねない。
緩急ををつけて仕事をすることで、仕事は最もはかどる。

ストレスがかかりすぎると、作業記憶と長期記憶が低下し、あらに集中力や学習能力も低下する。つまり、ストレスは脳のほとんどの機能を低下させる。
ストレスが継続すると、服腎皮質からコルチゾールというストレスホルモンが分泌される。また記憶のコントロールセンターともいうべき「海馬」にはコルチゾールの受容体がたくさん存在する。脳の他の部位よりもはるかにたくさんのコルチゾール受容体が存在するため、海馬はストレスに非常に弱い。コルチゾールは記憶を貯蔵するニューロンのネットワークを分断するとともに、海馬でのニューロン新生をストップする。ストレスによってコルチゾールが増えすぎた結果として、短期記憶、長期記憶、さらに新規の学習機能までもが障害される。
長期化するとコルチゾールは海馬に対して、深刻なダメージを与え、細胞を殺すことになる。

日ごろからストレスをためない生活をすること、ストレスを上手に発散することが、記憶力や学習能力を高めるために、最低限やっておかなくてはいけないこと。

「好奇心」は記憶力増強、「マンネリ」は記憶力低下につながる。記憶力と直接結びついている感情が「好奇心」。

好奇心・探求心のある生活をしていると、海馬からシータ波が出やすくなり、記憶力が高まる。
人間に限らず、生物は全て、進化上の特性として、私たちの脳は「新しい場面」は、より記憶しやすいという特性をもっている。
普段から新しいことにチャレンジしていく。自分の好奇心を信じて好奇心のまま行動してみる。それが記憶力を高める重要な生活習慣といえる。

海馬には「場所細胞」というものがあって、場所を移動するだけで、この「場所細胞」が、刺激されシータ波を発生させる。つまり、場所を移動するだけで、海馬を活性化し、記憶力をアップさせ、学習効率、仕事効率を高めることができる。
「場所細胞」を発見したジョン・オキーフ博士とその共同研究者は2014年のノーベル生理学・医学賞を受賞。

同じ場所で、同じような仕事を長時間淡々とこなすのは、記憶効率、学習効率、仕事効率を大きく低下させるので、注意が必要。

イヤイヤ勉強すると、記憶に残らない。楽しく勉強すると、それだけで記憶に残る。「記憶に関していえば、「頭がいい」かどうかよりも、「楽しく」やるかどうかの方が、何倍も重要。勉強する場合、イヤイヤ取り組んではいけない。「楽しく」取り組むだけでドーパミンが助けて記憶力をアップさせてくれる。

勉強好きな人は「短所克服」から入るべき。しかし勉強嫌いの人は「長所進展」から入ったほうがいい。

たとえ全く同じ人生を送ったとしても、どの体験を記憶に残すかによって、幸せになる人もいるし、不幸せになる人もいる。重要なのは自分の記憶を自分で選べる、つまり、自分の人生を自分で選べるということ。

嫌な体験も何度も話すと記憶に残る。嫌な体験は1回だけ話して、きれいサッパリ忘れるようにする。

今日あった、楽しい出来事をSNSに投稿するだけで、自分自身にポジティブな記憶を植え付けることができる。それを習慣化することによって、考え方や行動までもがポジティブに変わっていく。

 脳内記憶にこだわらない

ネット上の情報を自分の脳内にある情報のように活用できるとするならば、私たちの「記憶力」は事実上無限になる。

記憶には3つのステップがある。「記銘(暗記する、記憶する)」「保持(覚え続ける)」「想起(思い出す)」。
記憶というのは思い出すことが重要。

「わからないことは、Googleで検索すれば、何でもわかる」というのは間違い。Googleの検索結果に出てこないものがある。それは「あなたの体験」とそこから得られた「気づき」。
ネット上に何を書けばいいのかわからないと迷う人は多いはず。他の人がネットに上げられないこと、つまりあなたの体験、経験やそこから得られた「気づき」を書けばいい。それはあなたにしか書けない唯一無二のコンテンツであり、検索してもえられないものだから。

重要なのは、自分だけの体験、自分だけの気づきをどれだけ記憶し、自分の成長の肥やしにし、自分の血や肉にできるのか、ということ。

1年たって本で読んだ気づきを100%記憶し続ける方法は「記録」すること。
本を読みながら、アンダーラインを引きながら、余白に書き込みしながら、何かに気づくたびに全てメモしていく。あるいは読み終わった直後に、あなたの得た気づきや感想を、ひらめきを全て書き出す。そして最後に文章としてまとめる。
1年たって、瞬時に思い出せなくても、自分で書いた「感想」を読み直せば、あっという間に本を読んだ当時の記憶がよみがえる。

「外化」とは、自分の中にある考えやアイデアを、文章、言葉、図やイラストなどを通して外部に表現すること。
「メタ認知」とは、認知を認知する、すなわち自分の認知活動自体を認知すること。自分が何を考えているかを客観的に見る能力を「メタ認知能力」という。メタ認知能力は、問題解決や課題達成を自分自身の力で行うために重要となる能力。

自分の考え、アイデア、気づき、思いつきをどんどんメモをしよう。本を読んだり、映画を観たり、旅行にいったりしたら、感想を書こう。自分の体験を記録しよう。それが「外化」。

外化を行うことのメリット
1.自分が何を考えているのかを、自分で客観的に把握することができる。
2.自分の思考に対して、行動を変えることができる。
3.自分自身の考えをフィードバックできるので、自己成長につながる。
4.自分が何を考えているのか他人に理解される。
5.コミュニケーションが生まれ、他者との共感も生まれる。
6.自分の考えを物理的に保管、保存できる。つまり記憶に残る。

あなたの素晴らしい考えやアイデア、そしてオリジナリティのある経験や知識を外化することによって、あなたは自己成長を加速させながら、他の人から認められるようになる。

仕事を依頼されてから情報収集をしているようでは遅すぎる。普段から、自分の仕事、専門性に関する大量の知識、情報を、自分の頭の中に整理しておき、いつでも取り出せるようにしておく。

自分んがやりたい仕事があれば、来てから準備するのではなく、今すぐパーフェクトにそれをこなせるレベルに万全の準備をしておくべき。

その日にあった出来事を日記として記録することが、記憶のトレーニングになるといわれている。日記としてまとめられたエピソードは強烈に記憶に残り、もし忘れたといても、読み返せば一瞬で思い出すことができる。

アメリカのプリガムヤング大学の実験で、ポジティブな日記を書くだけで幸せになれるという結果が出ている。
【実験内容】被験者をその日のポジティブな出来事のみを書くグループと、単純にその日の出来事を書くグループとに分け、4週間にわたって、日記を書くように依頼する。すると、単純にその日の出来事を書いたグループに比べ、その日のポジティブな出来事のみを書いたグループは、幸福度と生活満足度が高いという結果が得られた。

SNSの日記にはポジティブな内容を中心に書いた方がいい。ポジティブな日記を書き続けることで、日常の中に、「楽しい」「おもしろい」ことを発見する感性が磨かれていく。

SNSに書くということは、「他の人に読まれる」「他の人に読んでもらう」ことを前提にしている。「読まれる」という軽い緊張感が、集中力を高め、文章力を高め、記憶力を高める。

「アウトプットしなければならない」「たくさんの人が読むかもしれない」というプレッシャー、適度の緊張が、ノルアドレナリンを分泌させ、集中力、観察力、記憶力を高めてくれる。

SNSへの投稿は写真と一緒にアップするほうが「記憶に残す」という視点から考えてもいい。なぜならば、写真、絵、イラスト、図などの視覚的なイメージは、圧倒的に記憶に残りやすいから。

被験者に口頭だけで、情報を説明するよりも、それに加えて、絵も使ったほうが、72時間後にテストしたところ、6倍以上もその内容を覚えていたという実験結果もある。

1回しか見ない100個の情報と接触するのか、30個の重要な情報と接触して、時間を置いて2回見直す(トータル3回接触する)のか。かかる時間はトータルで同じだとすれば、情報収集術としてどちらが有利か?
100個の情報を1度ずつ見る人はほとんどを忘れる。
30個の情報を3回ずつ見る人は、そのほとんどを記憶する。
情報を集めすぎる人は、脳内に使えない「情報のゴミ屋敷」を作る。
情報を厳選して集める人は、脳内に「知識の図書館」を構築する。

インプットの質と量が担保されてこそ、はじめていいアウトプットができる。インプットとアウトプットのバランスがとれた状態が、最も自己成長を加速する。

 脳メモリを開放して仕事効率・学習効率を上げる

「ど忘れ」は、認知症や長期記憶とは直接、関係がない。脳が一時的に情報過多になったためにおこる。
脳の中には、考えたり、判断したり、記憶したり、学習したりする、脳の作業スペース「作業記憶(脳メモリ)」がある。数秒から、長くても30秒ほど、ごく短い時間だけ情報を保持するが、その情報処理が終わると、すぐにその記憶は消去され、次の情報が上書きされる。
例えば、「26-7+12」を暗算した場合、「26-7」で19、「19+12」で答えは31となる。この途中にでてきた「19」という数字が短時間保持されないと、次の計算ができない。こうしたときに、脳内の作業スペース「作業記憶」が使われている。

私たちの脳は、どれくらいの情報を同時に処理できるのか?
作業記憶の個人差や作業負荷によっても変化するが、仕事や日常的な情報処理でいうと「3」ほどになる。作業記憶で一度に処理できる情報量は非常に少ない。そしてその情報量を超えると、処理スピードが著しく低下するか、作業停止してしまう。
作業スペースのイメージは、3つのトレイがあって、そこに視覚情報・聴覚情報・考え・などが、次から次へと入ってくる。それを瞬間的に、あるいは秒単位で処理して、トレイを空にしていく。そしてまた次の情報を処理していくイメージ。

一度にたくさんのことを考えすぎない。一度に複数の仕事をこなさないなど、「脳メモリ」の負担を減らす、つまり「脳メモリ」を解放することで、仕事効率、学習効率をアップさせることができる。

脳は一度に2つのことができない。
私たちは、同時に2つのことをこなす、「マルチタスク」をやりたがるが、多くの脳科学研究は、脳はマルチタスクをこなせない、マルチタスクをこなそうとすると、脳の効率は著しく低下する、ということを示している。
例えば、似たような2つの作業を一度に行おうとする場合、効率の低下は80~95%になる。また他の実験では、マルチタスク下で運転すると、反応時間が約1.5倍も遅くなることがわかっている。
マルチタスクをこなしているようで、実は脳の中では「切り替え」が何度も行われている。実際は1つずつのタスクを交互にこなしているだけである。つまり、脳は「切り替え」のためにムダなエネルギーを相当消費していることになる。
マルチタスクをせず、目の前の作業に100%集中する。仕事は1つ1つ完了させていくことが、最も賢い脳の使い方といえる。

音楽は仕事にプラスかマイナスか?
約200の論文を分析した研究によると、「音楽を聴くと仕事ははかどる」とする研究と、「音楽を聴くと仕事の邪魔になる」とする研究がほぼ同数だった。細かくみると、音楽は、「学習」「記憶」「読解」などにはマイナスに、「作業」「運動」にはプラスに働くことが多いという結果であった。

2つ以上のことを考える「マルチシンク」も脳メモリを消費することになる。「あとでメールをしないといけない」などの頭の中の気になる考えは全て書き出し、書いたら忘れるということを習慣できると、頭の中に余計な情報が入り込むことなく、常に脳メモリが解放された状態となる。結果として、気持ちよく仕事を続けることができる。

ロシアの心理学者ツァイガルニクがいつも行く喫茶店で、カフェの店員は、客のオーダーをメモもとらずに何人分も正確に記憶しているのに、主文の品を出した途端、オーダー内容を忘れる現象に気づき、「途中の出来事や未完了の課題は記憶に残りやすい」ということを明らかにした。これを「ツァイガルニク効果」と呼ぶ。
勉強や仕事を中断しても、長期記憶に残りやすくなるわけではない。未完了の課題は1つずつ片づけて、減らすことが重要。

今すぐ(2分以内で)終わることは、今すぐ片づける。「懸案中」「継続中」「未完了」の仕事をどんどんこなして、1つでも減らすことが、脳メモリの空きの容量を増やすコツ。

 脳の老化を予防する

健全な記憶力を持ち、歳をとっても頭脳明晰でいるためには、「脳にいい生活習慣」をする必要がある。ここで重要なのは、「運動」と「認知症にならない生活習慣」を意識すること。

脳を活性化する究極の方法は「運動」
「運動は脳に対して、ものすごくいい効果を与える」ということがわかってきたのは、2000年頃以降。ここ10年くらいで、急速に「運動」と「脳」の関係についての科学的な証拠が出てきている。

運動と脳の関係
1)海馬の神経を増やし、長期記憶を強化する。
神経の栄養となり神経を育てる物質(BDNF)が運動によって分泌されることが1996年に発見された。運動するとBDNFが分泌され、BDNFによって、神経細胞の増殖が促進される。つまり運動すると、脳が育つということ。

2)高齢になっても脳が育つ
神経科学者アーサー・クレイマーらは、運動をあまりしない60~79歳を「有酸素運動」グループと「ストレッチ」グループに分け、週3回、1時間ずつトレーニングをしてもらった。6ヶ月後のMRI検査で、ランニングマシンを使った「有酸素運動」グループでは、前頭葉と側頭葉の皮質の容積が増えたことが認められた。このように高齢になっても脳は育つ。それも6ヶ月程度の運動で変化が見られる。

3)運動直後から学習機能がアップする
たった1回の運動でも、運動前と比べて、学習機能が向上するというデータがいくつもある。

4)頭がよくなる

5)作業記憶が良くなる

6)ぐっすり眠れる
運動をすることで、一時的に体温が上がるが、その後数時間かけて、深部体温が低下する。深部体温の低下によって、寝つきがよくなり、睡眠も深まる。

7)モチベーションが高まる
脳の中で、モチベーションややる気を出してくれるドーパミンは、運動するだけで分泌される。運動するとすぐにドーパミンの量が増える。さらに、運動をしばらく定期的に続けると、脳の報酬中枢にあるニューロンが新たなドーパミン受容体を生み出し、さらに運動していこうという動機が芽生える。ドーパミンはそれ自体に記憶増強作業があり、ドーパミンが分泌されると、モチベーションがアップすると同時に記憶力もアップする。

8)ストレスが発散できる
ストレスがかかると分泌されるコルチゾール(海馬に悪影響あたえる)は、運動することで減らすことができる。運動することによって、コルチゾールを減らし、ストレスによる悪影響を軽減することで、記憶力を改善することができる。

9)認知予防効果がある
フィンランドの1500人に対する前向き研究では、週2回以上運動する人は、そうでない人に比べて認知症になる確率が50%低いという結果が出ている。週2回、1回20分以上の有酸素運動によって、アルツハイマー病のリスクを大幅に減らすことができる、という報告もある。

10)気分が明るくなる
運動すると、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの脳内物質が分泌されているが、特にセロトニンは、「晴れやかな気分」と深く結びついている。

脳を活性化するための具体的な運動方法

脳に効果的な運動は、有酸素運動。有酸素運動の代表的なものとしては、ウォーキング、ランニング、サイクリング、やエアロバイク、水泳、ダンス、エアロビクスなど。

脳に対する目立った効果を期待するのなら、最低2回以上の60分程度の運動が必要。
激しい運動をする必要はなく、中強度の運動、最大心拍数の65~75%で脳の賦活(ふかつ)効果は十分に得られる。心拍数のイメージとしては、早歩きのウォーキング、ジョギングで軽く汗が流れる程度の運動。

ランニングマシンでただ走るだけの運動よりも、さらに複雑な動きを組み合わせたほうが、脳に対する刺激となり、脳に対して良好な効果を与える。
寝る3時間前までには運動を終わらせるのが理想。

運動とのマルチタスクは脳を活性化する効果が高いことが知られている。運動をしながら脳トレをすると、脳を活性化できる。具体的なやり方としては、ウォーキングや踏み台昇降をしながら100から3を引き続ける計算をする。2~3人でしりとりをしながら歩く方法など。

楽しみながら行うことが大切。頑張って激しい運動をするのではなく、気持ちよく汗が流せる程度の運動を楽しみながら、長期的に続ける。

以上になります。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

      2017/08/06

 - 幸せの種まき